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サバイバルナイフ 強盗罪の成否の時期について

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郵便局の非常勤職員において仕事上のミスが多いということで1月からの雇用はありませんといわれて、それで腹を立て、

もし雇用契約を更新しなかったら死んでもらうなどと、サバイバルナイフで脅迫した上、ベルトで首を絞めて殺害するふりをしたら、局長は身の危険を感じて、来月分の給料である12万円を渡すから、帰ってくれといい、バイクで逃走した。

この事例ですと、最初の時点では強盗の意思はありませんよね。ただ、結果的に財物を強取したことには変わりないので、強盗罪は成立するような気がするのですが、脅迫の目的が、雇用契約の更新の強要が目的であって強盗が目的ではないと思うのですが。もし、強盗罪が成立しないのであればどんな罪が成立するんでしょうかね。やはり無罪でしょうか?あと、起訴された場合は罰金刑ですむ事例でしょうかね?



まず注意喚起しておきますが、「いかなる犯罪が成立するかは実体法上の議論」で「立証およびそれに基づく事実認定ないしは判決は訴訟法上の議論」です。両者を峻別しないのはそれだけで法律をまるで理解していないことの証明に他なりません。

詳細な状況(特に金銭を交付した被害者の心理状態。例えば法律関係の試験問題であれば、この点についての記述が確実にあります。その意味では本件質問は事例設定が不十分ではあります)によっては結論が変わる可能性も十分ありうるという断りを入れた上で、結論から言えば、強盗既遂罪が成立する可能性は十分あります。

暴行脅迫により反抗を抑圧した後で財物奪取の意図を生じた場合に何罪となるかというのは実はどの教科書にも載っている典型事例ですが、判例(大阪高判平成元年3月3日)に従えば、財物奪取の意図を生じて財物を奪取しただけでは足りず、財物奪取を目的とする暴行脅迫が存することを要するが、その程度は既に存する被害者の抗拒不能の状態を継続するに足りる程度の暴行脅迫で足りる、ということになります。

であれば、「最初は財物奪取の意図がない」としても、「暴行脅迫の継続中に金銭奪取の意図を生じ且つ、暴行脅迫を継続した(そして現に金銭の交付を受けた)」のであれば強盗既遂罪が成立することになります。

つまり、暴行脅迫を逃れた後に被害者が金銭を交付したのではなく、あくまでも暴行脅迫が継続している状態で被害者が金銭を渡す(から助けてくれ)と言ってそれを受け取る意思を生じている以上、全体として見れば当該暴行脅迫は客観的(=行為の外形から判断して)にも主観的(=行為者の内心から判断して)にも金銭奪取に向けられたものと評価できます。であれば、金銭奪取の意図をもって当該暴行脅迫を行っていると評価できるからです。なお、首を絞められたことで怪我をしていれば「強盗致傷罪」になります。

故意が行為の時に存在することを要すると言っても、行為の最初から故意が必要という意味ではありません。

この場合「罰金はありえません」なぜなら強盗罪の法定刑は5年以上の懲役しかないからです。減軽がないと執行猶予すら付けられません。強盗罪というのは実は非常に重い部類なのです。

ところで強盗罪を論じるためには「当該暴行脅迫により相手方の反抗を抑圧する」ことが必要です。ですから一応は、被害者の反抗の抑圧具合によっては恐喝既遂罪という線も完全に否定はできません。しかし、首まで絞めているところからすれば、普通であれば被害者は殺されるかもしれないという恐怖を覚えているでしょうし、このような暴行脅迫が一般論として相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行脅迫であることはほぼ間違いないので、強盗罪に問擬すべき事例と考えるべきです。もし仮に恐喝罪としても「罰金はありえません」。なぜなら恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」だからです。

仮に、金銭の交付時には暴行脅迫が止んでその影響から被害者が既に逃れていると判断できる事例であったとしても、最初の脅迫の段階で「強要未遂罪」は確実に成立しています。無罪にはなりません。そもそも「暴行脅迫」を手段として用いた時点で「暴行罪、脅迫罪」が確実に成立するのでどう転んでも「無罪」(=犯罪不成立)だけはありません。ちなみに、強盗既遂罪が成立すれば、他罪は強盗既遂罪に当然に含むものとして不成立になります。同様に強要未遂罪が成立すれば、暴行罪、脅迫罪は不成立になります。ただし、銃刀法違反の罪などは別でこれは別途成立します。ここで被害者が怪我をしていた場合、傷害罪が成立するのですが、恐喝罪が成立する場合に、傷害罪との関係をどう捉えるかは一応問題ではあります。個人的には併合罪でいいと思いますが、恐喝の手段としての暴行と傷害をもたらした暴行という部分が共通である以上、観念的競合と考えることも可能ではあります。なお、強要未遂罪にも罰金刑はありえません。なぜなら法定刑は「3年以下の懲役」だからです。暴行罪、脅迫罪辺りまでこないと罰金はありません。

なお、「ふり」である以上、首を絞めたことによる殺人未遂罪の成立は絶対にありません(これは判決で(強盗)殺人未遂罪の認定がないという意味ではありません。繰り返しますが、判決がどうなるかは訴訟法の問題で実際に何罪が成立しているかという実体法の問題とは別次元です。そこに齟齬を生じれば、それが特に被告人に不利である場合「冤罪」である、というだけの話です)。本件においては殺人の故意を否定する事情しかないので(強盗)殺人未遂罪は考慮の余地がありません。



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